黒
原色の服が好き。
だった。
だった、と言っても現に今も真緑のニットの長いワンピースを着てこれを書いているから、過去形じゃないのだが。
+
昨年末、黒のベルベットの衣装をフルオーダーした。
ベルベットだけのシンプルなロングの衣装ってなかなか見つからない。なんかどこかに装飾があったり、いやその形じゃねーよだったり。
衣装ってほんと、なかなか見つからない。ミシンも持ってないが、自分で作ってやろうかという気にさえなってくる。
でも以前なら、黒一色のシンプルな衣装をまさかオーダーで作るなんて考えもしなかった。
黒。
全部混ざった色。
何にも染まらない色。
+
知り合いの漆作家の方が、人間国宝の方の黒の作品を見て、自分のは全然黒く無い!と衝撃を受けた、とどこかで仰ってたが、黒の深さや鮮やかさにも、色々ある。
ずうっと底まで映すような
鏡のような
漆黒。
そんな黒がいい。
+
ここんとこずっと考え事をしている。悩んでいるわけではない。
ここからの人生を、どう生きたらええ感じなんか、っていう考え事。これから何をすべきか、いや、したいのか。
50歳からの人生、とかで検索すると、これからを生き生きと過ごすために、とか、自分らしく、とか、新鮮みも無いが耳障りだけが良い言葉で埋め尽くされた紗のかかったサイトばかり引っかかる。そもそも、生き生きって言う言葉自体に、もう、生気がない。
そうじゃない。
もっと、建設的な、何か。
+
赤、橙、黄、緑、青、紫、藍
今まで着てきた、目に鮮やかな衣装。
それよりも今は、黒、もしくは、白。
目につく服も、どっちかばかり。
そのことと、考え事と、なんだかリンクするようで、まだどこで繋がるのか、ぼんやりとしている。