多生の袖〜おばあちゃまのお宅へ、その3〜
立ち話の方が話が弾んだりする。友達同士で帰り際に立ち話が長くなり、近くの喫茶店に入って腰を落ち着けた途端話が終了するとか。
昼下がりに訪ねたおばあちゃまのおうちでの時間もあっという間に4時間近くが経っていた。一度座ると立つのが大変なのよ、腰が少し悪くてねぇ、と言っておばあちゃまは殆ど立ったまま話していたので、つられて私も家の中なのに立ち話。話は途切れることなく、映画とお芝居が好きというおばあちゃまの、好きな俳優さんの話にもなったりして。
日も暮れてきたのでそろそろお暇しようかな、また来るね
「ほんとによ!いつでも来て!あなたとのお話、ほんとに楽しい!」
うん、次は電話してから来るようにするね
「要らないわよ電話なんてー!そんな面倒なことしなくっても、いつでも来てくださったらいいの!」
そういえば子供の頃は友達の家に行くにも思いつきだし、友達が居なくても上がりこんでそこの兄弟と遊んだりお母さんにおやつをもらったり。学生時代もよく友人が下宿先にふらっと遊びに来ては朝まで飲んだりしたものだ。そんな気軽な近所付き合いな習慣は、もう長いこと、あんまり無いな。
じゃあまたお休みの日とか、散歩の途中に寄るね。ふらっと。
「えぇ、そうして!待ってるから!」
ふとご近所で出来た、83歳のお友達。おばあちゃまのおうちへ行こか、というとご機嫌で早く行こう行こう、の香雪。また明日お散歩の途中に少し寄ってみよう。