鐘の音
「めぐちゃんが、バーブラを現地で見て
その後どこまで行くんか、それを見てみたいんや。
ほんまに、それだけなんや」
ブログにも何度となく書いている、十数年前、私をBarbra Streisand のトロント公演に行かせてくれた、Kご夫妻。
・・・なんで私なんかに?・・・
ずっと理解出来ていなかった、その言葉の奥の気持ち。
やっと理解できたような
やっと本当に受け取れたような
そんな気がしている。
昨日、初の有料生配信ライブに挑戦した。生配信では先駆者でもあり代表的なサービスでもあるツイキャスが、コロナの影響もあり、いち早く有料生配信サービスを開始したのは今月3月4日。
ライブハウスが今回のことで槍玉にあげられてはいるが、ライブハウス業界なんてとっくの昔から斜陽。出演者に課せられるノルマ、出演者が自分で客を呼ばないと自然無観客試合になる、客の付いてない店。お店の方がお客さんを呼んで下さるお店なんて本当に希。
正直もうここ何年も、ライブハウスでのライブには限界を感じていた。箱でライブをやることにあまり意義を感じられず、かと言って他の方法も思いつかず、喫水線ぎりぎりで航行する重い船をどうにか騙しだまし操舵して進んでるような状態だった。
箱の外に場所を求めて、あれこれ試した。でも結果は同じで、結局はミュージシャンの持ってるコネクションを利用しようとする例しか無かった。
そこまでして、何で自分はこうしてライブをやろうとしているのか。
しかもジャズみたいに既に素材としてある曲をアレンジして歌うのではなく、自分で言葉を練り、歌詞を書き、曲を書き、アレンジし、ピアノ練習して、歌練習して弾きながら歌い、メンバーを選定し、店とメンバーに予定聞いてライブを立ち上げて告知し、フライヤーを作り、ホームページにも上げてお客さんにも宣伝し、その日を迎え、リハをし、歌い、弾いて、打ちあがって、帰る。
充足感、そしてそれと共存する、自分への疑問。
歌が好きなんですね
届けたい、伝えたい思いがあるんですね
ライブが好きなんですね
よく言われること3トップだが、どれにも自分では今ひとつ、ハイそうです、と頷けなかった。
なんでライブやってるんですか?
これもよく聞かれる質問だが、いつもの答えは
「何でなんでしょうね?」
有料生配信に初挑戦の昨日は、朝から2つの小さな出来事があった。
その1。
昨日はYouTubeに弾き語り動画を上げる日で、この状況だしな、と思い【What a Wonderful World】を上げ、SNSにも共有した。そこに程なく2つのコメントが付いた。
☆大阪兵庫間まで鎖国され困惑していたが
めぐみさんのこの歌でホッとして心のカサカサが潤ったようです
☆乾いた世の中に音楽の癒しをありがとうございます
YouTubeの動画は昨年七夕からやり始めて8ヶ月、現在129本。私の歌を聴いて!というよりは、こんないい歌があるんですよ、という紹介とか、単に自分の記録として、とか。
良いですねー!とか、ありがとうー!というコメントは今までも頂いていたし、もちろんそれは嬉しかったし。でも昨日の朝は、ありがとうと言われた自分が、潤いをいただいたような。
その2。
動画をあげたあと、香雪の散歩に行って帰ってくると、呼び鈴が鳴った。お隣さんだった。
お隣ご夫妻は我々と年も近く、互いに犬もいて普段から実家からやれ桃が送ってきたから、だのなんだのとお裾分けを渡しあったりして仲良くさせてもらっている。
そのご夫妻からお買い物に誘われた。
前もご一緒させてもらって楽しかったので、今度行くときまた一緒に、と言いつつ何度かタイミングが合わず流れたので、次こそは、と思っていた。
金土どちらかどうですか?と聞かれ、どちらも予定があったので、残念ごめんなさいとお断りすると
そっか残念。ちなみに日曜は?
と連絡が来た。
日曜は大丈夫だったのだが、コロナ禍の経済的打撃の少なくない中、財布を緩める気にはなれず、お断りするのをどうしようかと少し悩んだ。
適当に言って断ることも出来た。家で用がある、その日は予定が見えず、もし行けたら行k←絶対行かないやつ
でも、なんだかそういうのはイヤだな、と思い、正直にお話しをした。
呼び鈴で外に出ると
「今買い物行って帰ってきたの、これお裾分け!☺️」
えー!なんかすみませんありがとう…!
「いやー、だって、そりゃ大変だよねー!
でもね、変な言い方なんだけど、ぶっちゃけてもらって、すごく嬉しかった。なんか、近くなったって言うか。」
他所の家の内情を話されて、迷惑に思われこそすれ、まさか嬉しかったなんて言う言葉をかけてもらえるとは思ってもおらず、驚いたと同時に、その言葉がすうっと染みた。
自分がやりたくてやってることに、ありがとうと返してくれたその人の気持ちを受け取ること。
自分の内情話しただけなのに、話してくれて嬉しかったよ、っていうその人の気持ちを受け取ること。
そうか。
受け取って、いいんだ。
私はとても自己評価が低いので(これは自覚がはっきりある)、必死にやってやっと人並み、ここまで来てようやく何とか立ち回れる程度、っていう評価しか自分にはしてこなかった。
そのせいもあり、これまではあまり人を頼ったり、お願いしたりはしてこなかった。こんな自分が頼ったりお願いしたりしたところで迷惑にしか思われないだろう、みたいな気持ちだった。
だから自分でやってきたし、人からもらうよりも、自分からあげるほうが得意だった。あげたらあげっぱなし。お返しは要らない。そんな感じだった。
あれ?
ひょっとして皆さま
私のこと、応援してくれてるんや…?
え、そうなの?
好きでいてくれてるん…や?
期待してくれてるんや?
そうなんや…?
ものをあげるよりも、貰う方が、負荷が大きい。
もらうには、貰う腹を決めてないと、受け取れない。
そんなことに気付くのに、何十年かかってんだ…💧
そんなことにやっと気付いて、昨日はライブに臨んだ。
有料ということもあり、配信を始めるとすぐにチケットを買って下さった方が集まってくださった。目の前にそのお客さんたちはいないけど、画面の向こうで、あ、始まる!と期待してくれているのが分かる。
嬉しい。
コメントも出来るようにしていたので、何ならこれまでやってきた弾き語りの生での箱ライブよりも、お客さんと近く、一体感を感じる。家で一人で歌っているのに、お客さんの息遣いがとてもそばに感じられた。
なぜ今まで自分が、自分で曲を書いてやってきたのか。
それは、何かをあげたい、伝えたい、というよりも
こういう風に思うことってない?
こういう気持ち、私はあるんだけど、貴方には無い?ありますよね?
自分で鐘を作って、それを鳴らして、その音が耳に入った誰かが、あ、いい音、とか、なんか癒されるな、とか、あの音の鐘はどこにあるんだろう、とか、この鐘はどこで鳴ってるの?って探してみたり、耳に聞こえた人がどう聴いてくれるかはその人の自由で。
なので
この鐘を鳴らすのはわたし
鐘の音を聞くのは貴方
自分が歌を作って歌ってる理由がやっと分かった気がするし
もしこの鐘が聞こえたら、頑張ってもっと良い音の素敵な鐘を作るから
応援してください!
そんな気持ちです。
こんなことに気付くのに何十年もかかるような不器用もので、今までもらった応援にあんまり気づいてなかったような失礼極まりない不行き届きものですが、どうか皆さん、これからまたよろしくお願いします☺️
★3/20土 ツイキャスプレミア生配信ライブ@Meg’s Room & Piano
1.月なんか見ない☆♪
2.Precious/Esperanza Spaulding♪
3.星降る森☆♪
4.Greatest love of all/Whitney Houston♪
5.I need to be in Love/The Carpentars
6.Bridge over troubled water
7.Everyday☆♪
8.ENTRADA☆♪
☆はオリジナル
♪はリクエスト
てかオリジナルにリクエストきてる時点で気づけよな。。。。みなさんが下さってる愛に(;´д`)