宇宙人は居るか居ないか
今でも心に残っている大学時代の授業のひとつ、地学。地学といっても、宇宙方面のことを教えてくれる先生が多く、楽しみな授業のひとつだった。
当時の地学系の先生にはなかなかの強者が多く、院時代の授業ではポールシフトが取り上げられ、その英語文献を読んで議論した。
今でこそポールシフトによる氷河期云々というのはネットでよく知られることだけど、まだインターネットが普及してない時代。英語の論文は難しかったが、面白くて夢中になって読んだ。
さてその地学の先生でおひとり、
僕は人造人間なんです
って宣ってる方がいた。
片目は義眼、心臓にペースメーカーが入ってて、肺だか腎臓だかも片方無いとかで、身体中手術だらけだったらしい。
大学一年の夏休み前、夏休みの課題が出た。
この授業の課題はこれです。
宇宙人は居るか居ないか
みなさん、宇宙人は居ると思いますか?
いるー
いやーいないでしょ
いるね、ぜったい。
「そうですよね、そうやって意見が分かれますね。
でも、あなた方はこれから科学をやっていく人です。この課題も、感情論ではなく、あくまで科学として、自分で調べて、宇宙人の存在確率について、確率論で計算してきてください。自分なりの結論でOKです。
では、良い夏休みを☺️」
18才の若者に、これほど食指を動かさせる宿題があるだろうか。
帰り道、いや、俺はいるとおもうね、絶対いないよ、と友達と話しながら、どうやって証明するんだろう、確率だから、計算でいいのか、と考えを巡らしていた。
2ヶ月ほどの長い夏休みが終わり、件の授業。
「さぁみなさん、どうでしたか?端的にお伺いします。宇宙人が居ないことが証明できた方は?」
しーーーん。。。
+
宇宙の中で生命体が存在するだけの条件を揃え得る星の誕生確率
その星の寿命
生命体が生まれたとして、人間的な形のものになっていく確率。。。
そうやって各項目を検討し、確率論で計算していくと、宇宙人の存在がゼロと証明するためには、どこかの項目がゼロにならなければならない。
結論としては、宇宙人は居ないことは、証明できない。人類が地球で生きている同じ時期に存在し、宇宙内で出会うかどうかは別として。
なぜかというと
自分がここに居るから。
自分という人間が、宇宙の中にいるということを否定しない限り、生命体が存在する確率をゼロにできない。
+
「無い、ゼロ、ということを証明するのが一番難しいのです。感情論で居ないと思っても、科学はそうではありません。
そういう考え方を身につけてください。」
総合科学部、という名前に惹かれて入った大学だったが、本当に多彩な知識を教わった。専門しか無い学部に入っていたら、今のような思考経路を身につけられていたかどうかは疑問だ。
勉強って、こういうことだと思う。
“これを勉強したい”と思った時、その勉強の脇を支えてくれるのは、興味は無かったけど知識として入れてもらってきたこと。
ふとそんなことを思い出した月曜日。